【特攻隊に入れなかった男 2】人の価値


特攻

特攻隊に入りたかった。

 

ぼくも

 

みんなと同じように

健康な体で

お国のために戦って

 

この命を天皇陛下にさし上げたかった。

 

 

 

 

 

 

友人の多くが特攻隊に志願し、

もうすでに神になっている友人もいる。

 

「なんでや。」

 

 

そう思っている中

終戦を迎えました。

16歳の時です。

 

「自分はお国のために役立てなかった。

中途半端に生きているのがつらい。」

 

 

父は、そう思いながら

生き生きと生きることもできず

かといって

自害もせず、

仮面のような顔で

区役所の仕事をしていたそうです。

 

 

そんなある日、

京都の街角に貼ってあったキリストの言葉を目にします。

 

どんなことばか

父が亡くなった今、聞き出せませんが

幼いころこう言ってた記憶があります。

 

「どんなひともなあ、

値打ちがあるんやて。

キリストさんは教えたはるんや。」

 

 

 

どんなひとも

一人残らず、・・・・?

 

 

ぼくに価値があるっていうのか?


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