パワーをつけないエンパワメント その6 徹底的な尊重の意味


子どもの力

 

これまで、エンパワメントとは何かということをお話してきました。

 

これは 何かの欠点や病態を見つけて、

それを治療し、矯正しつつ、力をつけていくという考え方とは

根本的に違うこと。

 

「あなたが あなたでいるだけで

もうすでに

すばらしいんです。」

 

ということに立ち返っていくことであるというお話でした。

 

 

それで

 

そのためのアプローチについて説明する前に

 

親しみやすいエピソードとして

 

「ナイスおじさんの話」をしました。

 

 

私が語りたいことのほとんどは

 

あの

 

「ナイスおじさんのお話」に集約されているのですが

 

わかりやすく理論解説していきたいと思います。

 

 

● 徹底的な尊重の大切さ

 

エンパワメントにおけるアプローチの中で

 

大切なメッセージは

 

「あなた自身、

 

自分の中で、

 

自分の持っている力、

 

しかし気がついていない力があるんだ。

 

それを見つけていこうよ」

 

というメッセージです。

 

 

これをいろいろな形で、

 

いろいろな言葉や状況の中で

 

伝えていくのです。

 

 

そのために必要なこと

 

それが「徹底的な尊重」です。

 

 

徹底的な尊重とはどういうことでしょうか。

 

こういうことです。

 

「あなたは、そのまんま、

 

生まれただけで、すばらしい。

 

あなたは、生まれてきた。

 

それだけでなんとすばらしい力を持っているんだろう。」

 

 

これを徹底的に尊重していくのです。

 

 

このメッセージの対象は

 

あなた以外の人だけではありません。

 

あなた自身もそのメッセージの対象です。

 

自分自身にも

 

相手の人にも

 

周りの人にも

 

徹底的にこのメッセージを伝えていくのです。

 

 

 

 

これは簡単なことではないかもしれません。

 

はじめは

 

「何言ってるんだ!

 

きれい事なんかもうたくさん!」

 

と跳ね返されることもあるでしょう。

 

「わざとらしいほめ言葉なんて聞きたくない!」

 

 

睨みつけられることもあるでしょう。

 

 

わたしもこんな反発のことばを頻繁に発していた一人ですから。

 

 

しかし、このメッセージに徹し、

 

尊重を貫くことで関係性が変化します。

 

関係性が変化すれば、

 

自ら気づくことがどんどん出てくるのです。

 

 

 

子育ての場面

 

教育の場面

 

地域でのおつきあいの場面

 

男女交際の場面

 

職場での場面

 

ネットビジネスの場面

 

アフィリエイトの場面

 

 

いろいろな場面で

 

変化がみられるでしょう。

 

 

そして忘れてはならないのは

 

自分自身との関係性。

 

すなわち、

 

歪められ、

 

自分なんて生きていても大したことないんだと思い込まされている、

 

凍えた自分自身と対話していく場面で

 

 

この

 

「自分自身に対する徹底的な尊重」を

 

一貫して投げかけて行くのです。

 

 

この時も簡単ではないでしょう。

 

 

「何言ってんだ!」

 

「きれい事なんかもうたくさんだ!」

 

こう言う言葉が

 

今度は自分自身の心の中から聞こえてくる。

 

そんな声が聞こえてきても、

 

萎えることなく

 

メッセージを投げかけ続けていきます。

 

そうしていくことで

 

自分自身との関係性も新しくなっていくのです。

 

自分自身の関係性が新しくなることで

 

ほかの人に対しても

 

だんだんと

 

尊重のメッセージを投げかけていくことができるようになっていきます。

 

 

 

●徹底的な尊重のメッセージがないとどうなるか

 

 

一方、これまでお話ししてきました、

 

徹底的な尊重のメッセージの視点をもたないと

 

どうなるでしょう?

 

 

よく見かける場面があります。

 

「なぜ言うことをきかないの!」

とお母さんが子どもを叱りつけている場面。

 

「これだけ尽くしているのに、なぜ伝わらないの!」

と燃え尽きる、介護現場での場面。

 

つまり

 

エンパワメントのメッセージをもたないと

 

「してあげましょう」になってしまい、

 

それは「なぜできないの?」になってしまい、

 

関係性の転換につながらないのです。

 

 

一時的に変わっても

(例えば、母親に叱られたくないから言うことをきく。

介護している息子に注意されたくないから、文句を言わず大人しくしている。)

 

 

こころの中は何らよい方向に変わって行かないのです。

 

●本来の自分を取り戻すように変わっていくためには

 

すなわち

 

その人の持っている力を揺さぶっていく関係性を開いていかないと、

 

変わっていかないのです。

 

 

その人(自分自身も含めて)の持っている力を

 

揺さぶっていく関係性を開く姿勢とは

 

 

相手を(自分自身も含めて)徹底的に尊重し、

 

その力を信じる姿勢です。

 

これが重要!!!!!!!!

 

 

 

 

 

もう一度言いますよ。

 

相手を(自分自身も含めて)徹底的に尊重し、

 

その力を信じる姿勢

 

です。

 

 

 

 

人は尊重されることによって、

 

内にある本当の力を活性化させることができるのです。

 

 

パワーをつけないエンパワメント その5 ナイスの魔法


hana52

「あなたが あなたでいるだけで

もうすでに

すばらしいんです。」

これが

エンパワメントにおける

メッセージの核心であることをお伝えしました。

 

 

それでは

 

本日は 「ナイスの魔法」についてお話しします。

 

だれでも使える簡単な魔法ですが

 

その効果は絶大ですので

 

ぜひマスターしてくださいね!!!

 

 

ナイスの魔法

 

 

 

ある河原のひろーい原っぱ。

 

そこには、いつもの子どもたちが

 

いつものように草野球をしていました。

 

特に何かのチームやサークルで活動しているわけではありません。

 

「野球やりたい人、寄っといで」

 

で集まってくる、いつものちびっこたちです。

 

そこに、名物おじさんがいました。

 

チームの監督でもコーチでもありませんが

 

なぜかいつも、みんなで草野球している輪の中にいました。

 

その名物おじさんは

 

「ナイスおじさん」と呼ばれていました。

 

ナイスおじさんは、よくキャッチャーをやっていました。

 

 

低い球でも「ナイス!」と叫び、

 

高い球でも「ナイス!」と叫ぶ。

 

ストライク球なら「ナイス!ナイス!ナイス!」と連発する。

 

だからいつしかニックネームは「ナイスおじさん」になっていました。

 

アウトになって泣いたメンバーにも

 

「転びっぷりナイス!」とさわやかな笑顔。

 

 

ナイスおじさんに言わせてみれば、

 

いつも「ナイス!」なのです。

 

 

ナイスおじさんは、野球だけでなく、

 

話をしてくれたり、

 

本の読み聞かせをしてくれたり、

 

こどもたちに本の音読をさせたり

 

いろんな遊びを提供してくれました。

 

 

そして

 

うまくできた子どもにも

 

うまくできなかった子供にも

 

「ナイス」といって、ちょっとしたご褒美をくれました。

 

 

ナイスおじさんの「ナイスの心」

 

それは

 

きっと

 

この河原で遊んでいる子どもたちに受け継がれ

 

またその子どもたちが大きくなって

 

ナイス兄さんやナイス姉さんになっていくことでしょうね。

 

 

 

「ナイス!」

と言ってもらって

 

うれしくない人はいないと思います。

 

 

ナイスおじさんに言わせれば

 

どんな時もナイス!です。

 

 

 

失敗しても、うまくできなくても、ナイス!

 

やったことにナイス!

 

やれなくったって、ナイス!

 

 

きみがここにいることが、ナイス!

 

でも昨日いなかったよ、といってもナイス!

 

とにかくナイス!

 

 

「ナイス!」には凄い魔法があると思いませんか?

 

私たちも

 

「ナイス!」の魔法を使えます。

 

日常生活で使っていきましょう。

 

だれかに

「ナイス!」

 

自分自身にも

「ナイス!」

 

「ナイス」という言葉がしっくりこなくても

なじみのある言葉で構いません

「よっしゃ!」

「よか!」

「いいね!」

「ええやん!」

「よろしおま!」

「いいじゃん!」

「超イケテル!」

「ベリグー!」

 

何でもいいから

 

この魔法を使いましょうよ!

 

使ったその時から

 

言ってもらった相手にも

 

自分自身にも

 

相乗効果絶大であること、実証済みです。

 

 

この「ナイス!」

実は、深い意味があるのです。

 

エンパワメントでのアプローチの大切な部分です。

 

それには

「関係性の再構築」

「徹底的な尊重」

「「アサーティブネス」の発信」

「セルフ・アサーティブネス」

が含まれています。

 

このことについて

わかりやすくお話ししていこうと思います。

パワーをつけないエンパワメント その4 ~新しい関係性を築き、本来の自分を取り戻す


  • パワーをつけないエンパワメント

 

私たちは

 

生まれながらにして

 

素晴らしいパワーをもってこの世界にやってきました。

 

 

しかし、

 

生活環境や人間関係、差別や比較、いじめなど、外からの圧力によって

 

自分の本来の姿がゆがめられてしまい、

 

その歪んだ状態を

 

自分自身が今度は信じ込んでしまい、

 

自分自身で内側から自らを抑圧してしまうようになってきました。

 

 

「私なんか

 

大した人間ではない・・・・」

 

と。

 

 

しかし、

 

「あなた」はただ「あなた」であるだけで、

 

もうすでにたいした人間です。

 

 

 

このことについて潜在意識のレベルまで自分を納得させ

 

そしてほかの人についてもこのような見方ができる自分に気付く

 

 

いままで

 

何かになりたいと思ってもなれなかった、

 

だれかと比べられては、傷つけられてきた

 

そんな自分を解放し

 

そして

 

外からのメッセージを信じ込まされて

 

自らを自分でさげすんできた

 

心の奥にある自分を解放し

 

健全な自分観と

 

その自分観に基づく新しい関係性を

 

もう一度作っていくことが

 

エンパワメントのアプローチです。

 

すなわち

 

パワーをつけないエンパワメントです

 

 

  • 新しい関係性の再構築とは

 

では

 

新しい関係性の再構築とは

 

どのようなことなのでしょうか?

 

 

 

「エンパワメント」とは、

 

 

外部からの抑圧をなくし、

 

また自分に心の中で自分を抑えつける

 

内的な抑圧を減らしていくことで、

 

自分自身が生まれながらにして本来持っている多くの力

 

(生きる力、

 

人とつながる力、

 

人権という自分を尊重する力、

 

自分を信頼する力など)

 

を取り戻すことは先に説明した通りです。

 

 

 

そのために重要なことが「関係性」です。

 

 

 

例えば誰かとコミュニケーションを取る時や

 

誰かの支援をする時、

 

 

「あなた」と「相手」の関わりにおいて、

 

相手がどう生かされていくかが大切です。

 

 

 

例えば

 

ある非行少年が、

 

ふとした関わりで大きく変わったというケースがあります。

 

 

支援する人の関わり方によって、

 

その人の本来の力が生きていくのです。

 

 

一方、関わり方が悪いケースの例として、

 

押し着せがあります。

 

例えば、優秀な医師が、

 

患者さんの問題点をさがしあて、

 

分析し、指摘し、文章化することが上手くても、

 

エンパワメントにはつながりません。

 

 

一方、エンパワメントについて理解しているか、

 

その言葉は知らなくても自然にそれができている医師は

 

患者さんの内にある本当の力(本来の力)をどう発見し、

 

どのように患者さんに伝えることができるかをまず考えます。

 

 

 

このように

 

「エンパワメント」での関係性では

 

相手の人の本当の力(本来の力)を発見し、

 

それを優しく伝えることが大切です。

 

 

その人の良い面を見つけて、

 

それをいっぱいほめていくことです。

 

 

あなたがその関係性を徹底すれば、

 

相手がそれに応じてくる。

 

 

その「相互の呼応」で関係性が変わってくるのです。

 

まさに「関係性の再構築」ができるのです。

 

 

つまり

 

「エンパワメント」は、

 

「関係性の再構築」の新しい方法です。

パワーをつけないエンパワメント その3 ~本来の力を見失った本当の原因


  • 力を見失ってしまった 本当に大きな原因

 

私たちは、生まれながらにして素晴らしいパワーを持っています。

 

それが

 

幼児期から

 

大人との関わりの中で

 

そして

 

年齢や成長の各段階で

 

いろいろな関わりや環境の中において

 

たくさんの攻撃を受け、

 

そのパワーが発揮できない状態にさらされ続けてきました。

 

 

 

しかし、原因はこれだけの単純な理由ではなかったのです。

 

 

 

もう一つの理由

 

実はこれが最も大きな理由なのですが・・・

 

周囲からの期待どおりにならないこと

 

まずしさ、

 

いじめ

 

比較

 

否定の言葉

 

など

 

こうした外からの攻撃によって、

 

マイナスのメッセージを信じ込んでしまい、

自分自身が

 

「そうか・・・私なんて、大した人間ではないんだ」

 

と潜在意識レベルで思いこまされている状態

 

これが大きな理由だったのです。

 

 

 

 

そうなれば

 

環境が改善されようが

 

周囲からの敵意が消えようが、

 

自分で自分自身を軽んじているので

 

運命は好転しません。

 

 

 

 

自分を抑圧しているので

 

ほかの人とのコミュニケーションも気持ち良く取れませんし

 

何と言っても

 

自分を大切に思っていないので

 

周りの人を大切にできません。

 

 

 

何かの本を読んで

 

こうしたマイナス感情は自分に良くないことだと

 

頭で理解しても

 

 

 

潜在意識レベルで

 

自分を抑圧しているので

 

 

行動も結果も歪んでくることが多く、

 

それはコミュニケーションの中に

意識しないうちに出てしまったり

 

何かをする時も

無意識に頭や筋肉がうまく動かず

本来の力が発揮できないまま

試験や試合などでも

職場の仕事でも

思う結果につながらない

 

家庭でのコミュニケーションでも

ぎくしゃくしてしまう。

 

そういうことが実に多いのです。

 

 

 

 

 

このように、

 

私たちの多くは

 

本来生まれながらにしてすばらしいはずなのに、

 

外部からのマイナスのメッセージによる攻撃と

 

それを信じ込んで自分自身を内部から抑圧してしまう意識

 

によって、

 

自分の大切さを見失っています。

 

 

 

 

しかし、本当は、

 

「「あなた」はただ「あなた」であるだけで、

 

もうすでにたいした人間です」

 

 

そうです。

 

 

 

私が最も強くこのブログで伝えたいこと。

 

 

「「あなた」はただ「あなた」であるだけで、

 

もうすでにたいした人間です」

 

このことについて

 

次回以降お話ししていきたいと思います。

パワーをつけないエンパワメント その2 ~歪められたセルフイメージ


  • 人生がうまくいかない、コミュニケーションがうまくいかない正体とは

 

私たち一人一人は

 

例外なく

 

生まれながらにしてすごい力を持って生まれてきました。

 

それは人権という「いのちの力」

 

「生きる力」です。

 

すなわち

 

「わたし」が「わたし」であることを

 

大切に思う心の力であり、

 

わたしのいのちを尊重し、

 

ほかの人のいのちを尊重する力です。

 

 

その力は、

 

身分や地域、性別、障がいや病気の有無など関係なしに

 

一人ひとりが平等に持って生まれてくる力です。

 

それが「エンパワメント」の原点であることを前回ご説明しました。

 

 

 

 

「わたしが

 

わたしであることは

 

すごいことだ」

 

「あなたが

 

あなたであることは

 

すごいことだ」

 

 

 

 

そうなのです。

 

 

人は

 

一人残らず

 

こうした素晴らしい力を持って生まれてきました。

 

そして

 

だれの中にも

宝石のような素晴らしい宝物があります。

 

 

ところが

 

どういうわけか、

 

成長し、

 

少年少女時代から大人になってゆき、

 

その宝石の様な力が見えなくなってしまうことが

 

実に多いのです。

 

 

 

本来あるはずの素晴らしい力を見失っているから

 

運命が歪んできたり

 

物事がうまくいかない、

 

コミュニケーションがうまくとれない、

 

夢があってもあきらめてしまう

 

そんな事態に陥っている大人が実に多いのです。

 

 

ではなぜ見失ってしまったのでしょうか?

 

 

 

 

 

  • 私たちが 生まれながらにして持っている力を見失っていく大きな理由

 

 

その理由は

 

大きく分けて二つ考えられます。

 

 

一つは

 

自分の外部から抑圧があったからです。

 

それは幼児期から始まっている・・・

 

大人に対して何の抵抗もできず、

 

精いっぱいの反抗は駄々をこねることしかできなかった幼児期

 

「こうあるべき」としつけようとする大人と

 

「そうなれない」自分自身の間で葛藤が起きます。

 

さらに、年齢に応じて様々な抑圧やストレスにさらされます。

まずしさや病気、障がい、高齢化などで環境が整わなかったり

 

差別やいじめなど、ほかの人から仕打ちを受けたり

 

会社では、やりたくない仕事がうまくできず上司や同僚から罵倒されたり・・・

 

リストラをほのめかされたり

 

「お前なんか大したことはないんだ」と、夢を踏みつぶすようなことを言われ続けたり

 

受験戦争や就職戦争などでたえずだれかと比較され続けたり

 

さらに

 

ひどい場合は

 

虐待や暴力を受ける

 

災害や戦争が起こる

 

など

 

いろいろな外部からの攻撃は、

 

「お前なんか、大した人間ではないのだ」というメッセージを送り続けます。

 

そのマイナスのメッセージに長期間さらされ続けた結果、

 

本来のパワーが発揮できないまま埋もれてしまいます。

 

 

 

しかし問題はそれだけではなかったのです・・・・。